技能実習生は一時帰国できる?
はじめに
技能実習生の帰国に関する手続きや制度を理解することは非常に重要です。
特に一時帰国に関しては、許可の有無やそのタイミング、目的によって異なる対応が求められます。
この記事では、受け入れている技能実習生が一時帰国を検討する際に知っておくべき重要なポイントについて詳しく解説します。
法律で定められている一時帰国
技能実習生が技能実習2号を終える際には、必ず母国へ一時帰国する必要があります。この一時帰国は、技能実習法によって規定されており、技能実習生や企業の意思に関係なく実施されます。もし実習生が技能実習3号に移行する場合でも、一度母国に戻ることが義務付けられています。
一時帰国のタイミングについては、2つの選択肢があります。
1つは技能実習3号が始まる前に1カ月以上帰国する方法、もう1つは、技能実習3号が開始してから1年以内に1カ月以上1年未満の期間で帰国する方法です。選択するタイミングにより、再入国や在留期間の更新手続きにも影響が生じるため、事前に計画を立てておくことが大切です。
尚、このケースの一時帰国の際の費用は、実習実施者(受入企業)が負担する決まりとなっております。
万が一、技能実習生がこの帰国を拒否した場合は、技能実習計画の取消しや在留資格の更新が認められない可能性があります。また、監理団体にも影響が及び、許可の取り消しリスクが生じるため、企業と実習生は協力して適切な手続きを行う必要があります。
参考:「第3号技能実習移行時における一時帰国要件の柔軟化について」(外国人技能実習機構)
本人希望での一時帰国
技能実習生本人の希望によって一時帰国を申請する場合もあります。たとえば、家族の慶事や健康上の理由などの理由で一時帰国を希望する場合です。
ただし、本人希望による一時帰国の場合、許可が下りるかどうかは企業や監理団体の判断に依存します。実習実施者は、有給や忌引き等の扱いをうまく利用し配慮を示すことが求められるでしょう。
本人の申し出による一時帰国は、技能実習法で規定されている帰国ではないため、帰国費用を技能実習生本人が負担することも可能です。
注意点「みなし再入国許可制度」
技能実習生が本人の希望で一時帰国する場合、「みなし再入国許可制度」を利用することで、在留資格を失うことなく再入国が可能です。この制度は、出国日から1年以内に日本に戻る場合に適用され、通常の再入国許可の取得が不要になります。技能実習生は、出国前に空港や港で「再入国用EDカード」を提出し、審査官に「みなし再入国許可」の適用を申請する必要があります。
もし手続きを怠り、単純に出国した場合、再入国ができなくなるため注意が必要です。監理団体や受け入れ企業も、実習生が正しく手続きを進めるようにサポートを行うことが求められます。
※みなし再入国許可制度は1年以内の再入国に限られ、1年を超える場合は通常の再入国許可が必要です。
また、一時帰国を希望する技能実習生は、帰国後の生活費や日本での再訪問計画など、帰国に伴う生活の変化にも備える必要があります。実習生が一時帰国中に費用の負担が重くなることがないよう、事前に経済的な計画を立てておくことが推奨されます。
補足:継続困難による途中帰国
技能実習の途中帰国は、本人がけがや病気で実習継続が難しい場合や、実習実施企業の倒産などで実習の継続が不可能な場合に行われます。このような場合、監理団体は「技能実習困難時届出書」を作成し、外国人技能実習機構へ提出することが義務付けられています。
次の実習先が見つからず、実習計画の継続が困難な状況であることを証明し、正式な手続きを経て途中帰国が行われます。
まとめ
技能実習生の一時帰国は、状況や理由によって異なる対応が求められます。緊急事態や制度に基づく一時帰国はもちろん、本人希望による一時帰国も可能ですが、事前の調整や必要な手続きが重要です。
特に、帰国前に再入国手続きを怠らないよう注意し、帰国後もスムーズに技能実習を再開できるように準備を整えておくことが大切です。