日本企業が知るべきイスラム教の習慣(技能実習生)

日本企業が知るべきイスラム教の習慣(技能実習生)

はじめに

近年、多くの日本企業がインドネシアをはじめとするイスラム教徒の技能実習生を受け入れています。しかし、文化や宗教の違いがあるため、受け入れ企業にとっては「どのように対応すればよいのか?」と不安に感じることも多いでしょう。今回のブログでは、実際に日本で働くイスラム教徒の技能実習生が感じた不安や苦労、そして企業が行った良い対応についてご紹介します。

イスラム教徒の技能実習生の文化や宗教的配慮について、より詳しく知りたい方は、以下のYouTube動画も参考になります。
イスラム教の基本的な習慣や、日本で働く際の課題、企業がどのようなサポートを提供できるかについて詳しく解説されています。

Working with Muslim Interns - イスラム教徒の技能実習生と働くために (MJI EDUCATION SERVICE : インドネシア送出機関)


イスラム教の基本的な習慣・ルール

① 礼拝(サラート)

イスラム教徒は 1日5回の礼拝(サラート) を行いますが、仕事の状況に応じて 礼拝の回数をまとめたり、時間を調整することも可能 です。
日本ではモスクが少ないため、職場や自宅でお祈りをすることが一般的です。

② 断食(ラマダン)

ラマダンの時期は イスラム暦(ヒジュラ暦)の9月 にあたり、毎年約10日ずつ前倒しされるため、西暦のカレンダーでは年ごとに異なります。最近では 西暦の3月ごろにラマダンが行われることが多い です。ラマダン中は 日の出から日没まで飲食を控える という宗教的義務があります。しかし、体調が悪い場合や仕事の影響で難しい場合は、別の日に断食を行うことができます。

③ 食事(ハラール)

豚肉やアルコールを口にしない という決まりがあります。そのため、日本で食材を選ぶ際には 原材料表示を確認する 必要があります。漢字が読める人なら問題ありませんが、読めない人にとっては不安の要素となります。

ハラールとは イスラム教で許された食べ物 を指し、逆に ハラーム(禁止) に該当するものとして 豚肉、アルコール、適切な屠畜処理を経ていない動物の肉 などが挙げられます。そのため、イスラム教徒は食品選びの際に細心の注意を払っています。

④ 服装(ヒジャブ)

女性は ヒジャブ(スカーフ) をかぶることが多いですが、個人の信仰の度合いによって異なります。ヒジャブの着用には 精神的な覚悟 が求められます。この覚悟とは、単なるファッションではなく、イスラム教の教義に従い、社会の中で自分の信仰を貫く決意を意味します。

ヒジャブを着用することは、宗教的な義務であると同時に、社会の中で自らのアイデンティティを明確にする行為です。そのため、ヒジャブを身につけることは単なる服装の選択ではなく、イスラム教徒としての誇りを示し、信仰に対する責任を持つことを意味します。日本ではヒジャブを着用する人が少ないため、実習生にとっては時に注目を集めることもありますが、企業側がこうした文化的背景を理解し、適切なサポートを提供することで、実習生がより安心して働ける環境が整います。


日本で働くイスラム教徒の不安

「日本にイスラム教徒が少ないので、嫌われたりいじめられたりしないか心配」

これは多くのイスラム教徒技能実習生が感じる不安のひとつです。日本ではイスラム教についての理解がまだ十分に広まっていないため、誤解や偏見を持たれることを恐れる実習生もいます。

また、食材選びの問題もあります。 「間違えて豚肉やアルコールを口にしてしまうかもしれない」 という不安を抱えている実習生もいます。


日本での大変だったこと

特に ラマダン中の断食 は、日本で働くイスラム教徒にとって大きな課題のひとつです。

「断食の時期は日本では夏なので、40度の暑さの中で水を飲まずに働くのはとても大変だった」

これは、イスラム教徒の技能実習生が語った体験談のひとつです。仕事中に断食をすることは体力的に厳しいですが、 どうしても難しい場合は別の日に断食をすることも可能 です。


日本企業の良い対応

ある企業では、イスラム教徒の実習生が増えてきたことを受け、お祈りのスペースを提供する対応を行いました。

最初は会社側もイスラム教についての理解がなく、実習生から 「お祈りの場所を作ってほしい」 とお願いしても、なかなか実現しませんでした。しかし、実習生たちは一生懸命仕事を続け、その姿を見た企業側も 「この人たちは真面目に働いている」と感動し、お祈りスペースを設ける決断をしました。

結果的に、この企業はインドネシア人の技能実習生をさらに積極的に採用するようになりました。宗教的な配慮を行うことで、実習生もより安心して働くことができ、企業にとってもメリットが生まれた好例です。


まとめ

協同組合Keep on Heartでは、インドネシアをはじめとするイスラム教徒の技能実習生の受け入れサポートが可能です。これまでの実績を活かし、文化や宗教に配慮した適切な受け入れ体制を整えており、企業と技能実習生双方が安心して働ける環境づくりを支援しています。特に、ハラール対応や礼拝スペースの提供、ラマダン期間の配慮など、実習生の信仰を尊重した職場環境の整備に取り組んでいます。