技能実習生の面接の質問のポイント
はじめに
企業の求人情報をもとに、現地の送出機関が候補者を募集します。その中から技能実習生として受け入れる候補者を決めるために、面接が行われます。
面接自体は現地でもオンラインでも行うことが可能ですが、中でも技能実習生を見極めるための「質問」には不安を持たれている方が多いようです。本記事では、面接を効果的に行うための質問のポイントと、具体的な質問例について解説します。適切な質問を通じて、候補生の本質を見極めましょう。
技能実習生の面接の質問のポイント
日本や業務への理解は漠然
よくあるのは、日本のことや自社について質問をするケースです。
しかし、多くの技能実習生は日本に来たことがないため、日本へのイメージや業務に対する理解が漠然としていることがあります。現代ではインターネットで調べることも可能ですし、調べる熱意を測るという意味では有効な質問ですが、日本人を採用する時と同じようなクオリティを期待することはできません。
そのため、「日本に来て何がしたいですか?」「どこへ行ってみたいですか?」「業務へのイメージは?」といった質問に対しては、誰に聞いてもほとんど同じような答えが返ってきて、あまり参考にならない場合が多いです。
事前に説明会を開催し、その内容について面接で確認するといったことであれば、しっかりと理解して面接に臨んでいることを確認できるかもしれません。
経験を探る
面接では、あらかじめ準備された回答ではなく、それぞれの候補者の独自の経験に基づいた回答を得られる質問を重視しましょう。「はい」「いいえ」で終わらない質問を用意し、自分の意見を引き出すようにしましょう。
例えば、「今までで一番苦労したことは何ですか?」といった質問は、候補者の経験を深く探るのに役立ちます。また、過去の仕事経験に基づいて、「日本でどんなことをしたいですか?」や「仕事でのミスの対処方法は?」などの質問も効果的です。
履歴書に嘘がないか確認
候補者の履歴書に虚偽がないか確認することも重要です。送出機関や監理団体は、面接前に履歴書の内容を確認していますが、本番の面接で嘘が発覚することもあります。例えば、履歴書に記載されていなかった知人が日本にいる場合、その後の失踪に繋がるリスクがあります。「日本に、友人や知人がいますか?」「何をしている人ですか?」「働く場所は知人の場所と離れているが、大丈夫ですか?」といった質問をし、深掘りして確認することが必要です。
また、目標とする貯金額や過去の職歴、求人条件で重要なポイントなども、面接で直接本人の口から確認しましょう。
職務経験がある場合は、その経験をもとに、日本でどのようなことをしたいのか、過去の仕事でのミスにどのように対処したのかを尋ねると良いでしょう。転職が多い場合は、転職理由が一貫していない場合や、飽きっぽい性格が原因であれば、注意が必要です。
他者からの評価
自分自身で感じていることと、他者から見た その人の印象というのは、異なることが多いでしょう。
「あなたは友達からどんな人だと言われますか?」「この中で最も性格が良いと思うのは誰ですか?」といった質問は、その候補者がどのような印象なのかを客観的に知ることができるでしょう。
日本語力の確認
履歴書には、日本語の学習期間や日本語レベルの記載があると思いますが、そのまま鵜呑みにしてはいけません。長く勉強をしても日本語が身についていない候補者もたくさんいます。候補者のレベルにもよりますが、直接会話を行ってみると良いでしょう。
一点注意が必要なのは、同じ意味の文でも、文法が異なると通じないということです。
例)
・日本語を話します
・日本語を話す
「日本語を話します」は丁寧形です。「日本語を話す」は普通形です。
日本語を学習して一番はじめに勉強するのは、「丁寧形」ですので、「日本語を話します」という言葉を使ったほうが、コミニケーションを取りやすいでしょう。このあたりは、日本語教師や通訳に表現方法を相談し、曖昧なイメージで日本語力を判断しないようにしましょう。
質問が分からなかった時の対応
面接では日本語力だけでなく、立ち振る舞いも重要なチェックポイントです。
候補生が理解できなかった質問に対して「すみません、もう一度お願いします」「〜〜は、どういう意味ですか?」と聞き返せるかどうかを確認しましょう。分からないことを隠そうとするのではなく、正直に聞き返すことができる候補者は優秀です。
実際には理解していなくても「はい、わかりました」と答える候補者がいますが、それは実習が始まった際に思わぬ事故の原因となります。
まとめ
面接は、候補生の本音や個性を引き出す重要なプロセスです。適切な質問を用意し、リラックスした雰囲気を作り出すことで、候補生の本質を見極めることができます。面接のポイントを押さえ、効果的な質問を通じて、適切な技能実習生を選びましょう。
面接の流れや、候補者の見極め方に関しては、下記記事をご覧ください。
参考:技能実習生の面接の流れ