技能実習指導員とは?要件や講習は?

技能実習指導員とは?要件や講習は?

はじめに

技能実習生を受け入れる企業にとって、技能実習指導員は欠かせない存在です。
この記事では、技能実習指導員の役割、選任ポイント、登録方法について詳しく解説します。

技能実習指導員の役割

技能実習指導員の主な役割は、技能実習生に対して技術や知識を直接指導することです。
具体的には、技能実習計画に基づいた教育や訓練の実施、進捗管理、評価などを行います。また、技能実習生が適切に技能を習得できるよう、現場でのサポートも担当します。安全確保のためにも、技能実習生と同じ現場にいることが必要です

関連して、技能実習計画に沿って技能実習が行われているかを記録していく「技能実習日誌」というものがありますが、その記載を担当するのは技能実習指導員です。

技能実習日誌の詳細については「【毎日記載が必要】技能実習日誌とは?」をご覧ください。

【毎日記載が必要】技能実習日誌とは?

はじめに 技能実習日誌は、技能実習指導員が技能実習生の日々の実習内容を記録する重要な書類です。「聞いたことがない」という方も多いかと思いますが、実習計画の進捗や…

さらに、技能実習生は日々の実習を通じて技能を習得し、「技能検定」という試験に合格することが求められます。技能検定の合格には計画的な取り組みが必要であり、もし初級試験で不合格になってしまうと強制帰国になってしまいます。
指導員は、実習生が技術を確実に習得し、検定に合格するためにも日々のサポートを行う、非常に重要な役割です。

参考:技能実習生の試験「技能検定」とは?合格率を高めるには?

技能実習生の試験「技能検定」とは?合格率を高めるには?

はじめに 技能実習生にとって重要なステップである「技能検定」について、詳しく解説します。技能検定は、実習の成果を客観的に評価するための試験であり、技能実習生が技…

技能実習指導員の要件

技能実習指導員になれる要件

技能実習指導員の選任にあたっては、主に以下の要件を満たすことが求められます。

  • 実習実施者の常勤の役員もしくは職員のうち、技能実習を行う事業所に所属する者
  • 習得等をさせようとする技能等について、5年以上の経験を有する者

まずは、役員ではなくても、常勤職員であれば技能実習指導員になることができます。常に技能実習生と同じ現場で指導をすることが必要なことを考えると、常勤職員の方を選任するのが良いかもしれません

また、5年以上の実務経験については、現在の企業での経験ではなく、該当職種での通算経験年数となります

技能実習指導員は、技能実習責任者、生活指導員との兼任も可能となっておりますので、社内の体制と技能実習計画を鑑みて専任するのが良いでしょう。

技能実習指導員になれない要件

以下の要件に該当すると、技能実習指導員に就任することはできません。

1、技能実習法第10条第1号から第7号まで又は第9号のいずれかに該当する者
2、過去5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為をした者
3、未成年者

以上に該当するものは就任することができません。

技能実習指導員を選ぶポイント

複数人を技能実習指導員にする

先ほどは、役員ではなく職員を技能実習指導員に選んだ方が、現場にいる可能性が高いとお伝えしました。しかし、体調不良で欠勤となった場合や、夜勤で交代する際、技能実習指導員のいない状態で、技能実習を行うことはできません。

また、複数の業種で申請する場合や、複数の現場で実習が行われる際は、それぞれに1名以上の技能実習指導員が必要です。

これらのことを考慮すると、基本的には複数人を技能実習指導員にしておくべきでしょう。

指導力に長けた人を選ぶ

技能実習指導員には、育成・指導に長けた人が理想的です。技術を教えるだけでなく、コミュニケーションが取りづらい初期段階から実習生を支え、技能検定合格に向けて導く力が必要です。

例えば、技能実習から特定技能に切り替わっても貴社で活躍するケースを考えれば、技術だけでなく、企業文化や日本の仕事の進め方に適応できていることが理想でしょう。実務経験が5年以上ということ以上に、指導力のある技能実習指導員は、実習生や企業の成長に大きく貢献します。

技能実習指導員の登録や講習について

技能実習指導員の登録方法

外国人技能実習機構へ書類を提出することで、技能実習指導員の登録が完了します。
具体的には、技能実習指導員の履歴書の記入、誓約事項が記載された書類への署名を行う必要があります。

下記、外国人技能実習機構のページに書式が公開されていますので、参考いただければと思います。

参考:技能実習計画の認定申請/計画の変更関係
「技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の履歴書並びに就任承諾書及び誓約書」

技能実習指導員の養成講習

技能実習指導員講習への参加は任意ですが、講習を受講することで、技能実習指導員の役割について理解が深まり、結果としては技能実習生と受入企業の双方により良い結果をもたらすことになると思います。

また、技能実習指導員の講習受講歴は、優良な実習実施者の配点に加算されます
優良な実習実施者になると、受入人数が拡大され、受け入れ期間も延長することができます。詳しくは別の記事で解説しています。

参考:【企業】優良な実習実施者とは?

【企業】優良な実習実施者とは?

はじめに 技能実習制度の期間を3年から5年に延ばすためには、技能実習3号の受け入れができるように「優良な実習実施者」として認定されることが必要です。 この「優良な実…

下記、厚生労働省のページに養成講習機関及び講習実施日程が公開されていますので、そちらも参考いただければと思います。

参考:外国人技能実習制度における養成講習について

まとめ

技能実習指導員は、技能実習生が円滑に技能を習得するために欠かせない役割を担っています。指導員としての要件を満たし、適切に選任・登録することで、技能実習生の成長をサポートし、企業の発展にも寄与することができます。