【スーパーマーケット】技能実習生受け入れのメリットと課題

スーパーマーケットにおける技能実習生受け入れのメリットと課題

はじめに

2024年7月、スーパーマーケットが特定技能受け入れ可能事業所に追加され、技能実習制度が今後より長期的な人材採用戦略の一環として検討できるようになりました。これは、スーパー業界にとって大きな転機です。特に人材不足が深刻化している現在、外国人技能実習生の活用は採用面での大きなメリットをもたらす可能性があります。

この記事では、スーパー業界の市場特性に基づき、技能実習生を採用する理由や、よくある課題とその解決策を紹介します

スーパー業界における市場の特徴

スーパーマーケット業界は、他の小売業と同様に、少子高齢化や労働人口の減少に伴う深刻な人材不足に直面しています。特に、惣菜・水産・精肉といった現場のポジションは、労働集約型であり、定着が難しいことが多いです。そのため、技能実習生を活用することで、安定的な人材供給を実現することが可能です。

外国人技能実習生の配属先は「惣菜部門」が最も多く、全体の76.0%を占めています。続いて「水産部門」が34.8%、「プロセスセンター」が32.3%、次に「ベーカリー部門」が19.3%、そして「その他の部門」が17.2%となっています。(一般社団法人 全国スーパーマーケット協会『2023年スーパーマーケット年次統計調査報告書(2024年1月修正版)』)

外国人技能実習生は、日本での労働経験を積み、技術や文化を学びながら働きます。彼らのモチベーションの高さや長期的な就業意欲は、短期間で離職しやすい国内の労働力に対して、大きなアドバンテージを持っています

また、企業のダイバーシティ推進の一手として、技能実習制度を活用しているスーパーも多い印象です。

2024年の法改正と特定技能制度の拡充

2024年7月に行われた法改正により、スーパーマーケットも飲食料品製造業分野で特定技能を受け入れることが可能になりました。この制度では、技能実習から特定技能への移行ができ、実習期間終了後も引き続き雇用が可能です。これにより、単なる一時的な人材補充ではなく、長期的な労働力確保の手段として外国人労働者を活用できるようになります。

技能実習生として3年間働いた後、特定技能に移行することで、さらに5年間の雇用が可能です。これにより、長期的な人材育成と安定的な労働環境を提供できるようになります。

技能実習生の受け入れ対象は、店舗全体の業務(食料品小売業)ではなく、バックヤードなどで行われる食料品製造部門に限られます。具体的には、青果物の加工、鮮魚や食肉の加工、ベーカリーや惣菜の製造などが行われている事業所が対象です。また、関連業務としても販売業務に従事することは認められておらず、特定技能外国人を販売業務に従事させないことを誓約する書類の提出が求められます。

スーパーならではの課題

本部と店舗の連携不足

多国籍な労働者を管理する上で、本部と店舗の連携が不足し、コミュニケーションが円滑に行われないことがよくあります。解決策としては、本部からの情報を多言語対応のシステムで共有し、外国人技能実習生が情報を適切に理解できるようにすることが考えられます。また、外国人技能実習生の意見やフィードバックを収集する仕組みを構築し、職場環境の改善に役立てることも重要です。

つまみ食い問題

技能実習生が食品を扱う際に発生する可能性がある「つまみ食い」は、スーパーマーケットでの外国人労働者受け入れにおける懸念の一つです。思いの外、頻度が高いのがつまみ食いです。

解決策として、厳格な監督体制を整え、食品管理の意識向上を促す教育を行うことが有効です。また、企業文化やモラルに関するオリエンテーションを実施し、ルールの厳守を強調することも重要です。

SNSによる悪ふざけ情報の拡散炎上

技能実習生だからではなく、近年、食の世界では、アルバイトによる悪ふざけや、フードテロと呼ばれるお客様による迷惑行為がSNSを通じて拡散され、多大な影響を受けるというニュースがよくあります。技能実習生に対しても、モラルの部分の教育だけではなく、そもそもスマホを食品製造の現場に持ち込ませないなど、徹底した管理が求められるでしょう。

業界ごとに課題が似ていることが多いので、貴社の業界で受け入れ経験のある監理団体のサポートが受けられると、非常に安心して技能実習生を受けれられると思います。協同組合Keep on Heartでは、大型スーパーへの技能実習生の配属経験がございますので、その経験や知見を元にしっかりとサポートさせていただければと思います。

まとめ

スーパーマーケットが外国人技能実習生を受け入れることは、単なる労働力確保にとどまらず、企業の成長に寄与する重要な戦略です。特に、2024年の法改正により、技能実習から特定技能への移行が容易になり、長期的な人材育成が可能となりました。課題を解決しつつ、外国人技能実習生の能力を最大限に引き出すことで、スーパーマーケットの業績向上に繋がるでしょう。