最低賃金?技能実習生の給与相場はいくら?

最低賃金?技能実習生の給与相場はいくら?

はじめに

技能実習生の給与は、受入企業にとっても技能実習生にとっても重要な問題です。特に、2024年7月現在では大幅な円安が進み、日本ではなく韓国やドイツ、オーストラリアへ労働しに行く方が増えてきました。

「技能実習生にはどのくらい給料を支払うべき?」
「相場はいくら?」

本記事では、技能実習生の給与相場や設定方法について詳しく解説します。

技能実習生の給与相場

まずは、技能実習生に支払う給与の相場について見ていきましょう。厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、在留資格区分ごとの外国人労働者の平均給与は以下の通りです。

在留資格区分賃金
外国人労働者平均23万2,600円
専門的・技術的分野(特定技能を除く)29万6,700円
特定技能19万8,000円
身分に基づくもの26万4,800円
技能実習18万1,700円
その他(特定活動及び留学以外の資格外活動)23万1,300円

技能実習生の平均給与は18万1,700円で、外国人労働者平均の23万2,600円と比較すると5万円ほど安く、その他在留資格と比べても最も安い賃金となっています。

給与設定のポイント

最低賃金を守る

技能実習生も日本人労働者と同様に、雇用関係が認定されるため、最低賃金以上の給与を受け取る必要があります。

最低賃金は「地域別最低賃金」と「特定(産業別)最低賃金」に分かれ、どちらか高い方が適用されます。

地域別最低賃金は都道府県ごとに設定され、特定(産業別)最低賃金は特定産業の基幹労働者に適用されます。最低賃金を下回ると受け入れ停止のリスクがあるため、注意が必要です。

同一労働同一賃金

「同一労働同一賃金」とは、同じ企業内で同じ仕事をする労働者に対し、雇用形態に関わらず賃金格差をなくすためのルールです。

技能実習生は非正規労働者に該当しますが、「実習生だから」といった理由で賃金を低く設定するのは避けるべきです。同じ仕事をする日本人労働者と同等の賃金を支払うことが重要です。

違反に罰則はありませんが、説明できない賃金格差は損害賠償のリスクを伴います。

割増賃金を支払う

時間外勤務や休日勤務を行った技能実習生には、「割増賃金」を支払う必要があります。割増賃金は、基礎時給に一定の割合を加えて支払われる賃金です。以下が労働状況ごとの割増賃金の割合です。

  • 時間外労働: 25%以上
  • 深夜労働(22時~5時): 25%以上
  • 休日労働: 35%以上

技能実習生と合意の上で低い賃金を設定しても、これらの割合を下回ると労働基準法違反となります。

最低賃金のリスク

法律上は最低賃金での雇用は問題ありませんが、現実的には最低賃金だけでは十分とは言えません。

技能実習生も同様で、最低賃金で契約を結んでいても、それが長期間続くと様々な問題が生じる可能性があります。最低賃金を守るだけでなく、適正な賃金を支払うことで、技能実習生のモチベーションや労働環境を向上させることが重要です。

失踪のリスク

技能実習生の失踪に繋がる可能性もあります。最低賃金を支払っていれば法的には問題ありませんが、仕事内容や環境によっては不満が生じることがあります。この不満が蓄積し、他の要因と重なると失踪に繋がる可能性があります。失踪者が出ると、新規受け入れや申請手続きが停止されることもあるため、最低賃金設定には注意が必要です。

技能実習生の失踪問題について

技能実習生の失踪問題

はじめに 技能実習生の「失踪」に関する話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。日本で働く技能実習生は年々増加していますが、一方で失踪者も増えてきていま…

将来的な転職リスク

技能実習生は、3年または5年の実習期間を終えると、「特定技能」に移行することができます。最低賃金で雇用を続けた場合、特定技能に移行後、より高い給与を提供する企業に転職されるリスクがあります。

特定技能の1号は最長5年、2号は在留期間の上限がありません。このため、技能実習で培った知識と技能を持つ人材が他社に移るのは大きな損失となります

法律違反のリスク

最低賃金は毎年上昇しているため、最低賃金で雇用を続けると、更新に気付かずに最低賃金法や労働基準法に違反するリスクがあります。違反すると罰金や受入れ停止の可能性があり、特に悪質な場合には厳しい処分を受けることもあります。常に最新の最低賃金を確認し、適正な給与を支払うことが重要です。

まとめ

技能実習生の給与設定には、企業と技能実習生双方の納得が重要です。

給与額だけでなく、昇給機会を設けることで実習や作業に対するモチベーションを維持・向上させることができます。

また、賞与の支給も有効な手段です。法律上賞与の支給は義務ではありませんが、支給することで技能実習生のモチベーションを高める効果が期待できます。