技能実習生の住居の条件は?誰が支払う?

技能実習生の住居の条件は?誰が支払う?

はじめに

技能実習生を雇用する際、日本での住居は誰が提供するのでしょうか?また、どのような住居が必要なのでしょうか?

本記事では、定められている住居の基準、どんな住居があるか、費用負担や住居選びのポイント等について解説します。

技能実習生の住居基準

技能実習制度運用要領では、技能実習生の住居や家賃に関する基準が詳細に定められています。以下に、具体的な基準を紹介します。

部屋に関する基準

1. 広さの基準

寝室の広さは1人あたり4.5㎡(約3畳)以上と定められています。これは、健康的な居住環境を保つための最低限の要件です。

2. 収納スペース

各寝室には、施錠可能な個別の収納スペースを提供する必要があります。単なる仕切りではなく、しっかりとした収納設備が求められます。

3. 採光と暖房

適切な採光を確保する窓と、暖房設備が必要です。

4. 勤務時間の違いによる寝室の分離

日勤と夜勤の実習生がいる場合は、別々の寝室を設けることで快適な居住環境を保ちます。

部屋以外の設備に関する基準

1. 食堂やキッチン

十分な照明と換気設備を備え、清潔な食器保管スペースを確保し、害虫対策を施す必要があります。

2. 衛生設備

トイレ、洗面所、お風呂場、洗濯設備を提供することが求められます。

3. 安全対策

2階以上に寝室がある場合、安全な階段を設置し、15人以上の場合は2か所以上の階段が必要です。

4. 衛生管理

共用部分では感染症予防のための衛生管理が求められます。

環境に関する基準

1. 換気と密集の回避

コロナ対策として換気の徹底と密集回避が求められます。

2. 安全な環境

爆発物の危険性がない、衛生的に有害でない、騒音や振動が最小限である、自然災害の危険がない場所に住居を設置する必要があります。

3. 消火設備

十分な消火設備が整っていることが求められます。

事業の附属寄宿舎に関する基準

労働基準法に基づき、「事業の附属寄宿舎」として認められる宿泊施設は以下の条件を満たす必要があります。

1. 労働者の常態的な宿泊

多数の労働者が常に宿泊し、共同生活が行われていること。

2. 独立または区画された施設

独立した施設であるか、明確に区画されていること。

3. 事業経営上の必要性

事業運営において必要とされる施設であること。

例えば、一軒家を借り上げて実習生が共同生活を送る場合、これも寄宿舎として認められます。この場合、寄宿舎規則を策定し、労働基準監督署に届け出る必要があります。規則には、起床・就寝、外出・外泊、行事、食事、安全衛生、建築物および設備の管理に関する事項を記載する必要があります。

以上が、技能実習生の住居に関する基準の概要です。これらの基準を守ることで、技能実習生が安全かつ快適に生活できる環境を提供することが可能です。

住居の種類

技能実習生の住所は、実習実施者(受入企業)が用意する必要があります。技能実習生が自分で賃貸物件を選んだり、個人契約をするわけではありません。

住居のタイプは、主に下記3パターンに分かれるでしょう。

借り上げ物件(アパート)

受入企業が広さに応じたアパートを借り上げ、技能実習生の住まいとするケースが多いです。物件探しや管理を業者に依頼することで企業の負担を軽減することもできますが、他の住民との居住マナーには配慮する必要があります。

借り上げ物件(一軒家)

受入人数が多い場合や毎年同じ時期に受け入れがある企業では、一軒家を借り上げることがあります。集団生活で仲間意識が芽生え、日本の生活様式にも馴染みやすくなりますが、大人数で集まると騒がしくなりがちですので、近隣住民への配慮が求められます。

寮・社宅(自社物件)

特に建設業界では、日本人社員も住んでいる社員寮に技能実習生を住まわせるケースが多いです。社員寮では同じ企業で働く仲間としての連帯感が生まれやすい反面、技能実習生のプライベートな時間を確保する配慮が必要です。

費用負担

家賃負担

技能実習生の住居の費用は、実習生本人が負担するのでしょうか。それとも受入企業が負担するのでしょうか。

・借り上げ物件の場合

家賃は技能実習生の人数で均等に分割し、その費用内で徴収することが可能です
管理費や共益費も技能実習生が負担しますが、敷金、礼金、保証金、仲介手数料などの初期費用は受入企業が負担します

自社物件の場合

建物の年数や改修費、居住者の人数などを考慮して算定された金額を、家賃として徴収することが可能です。

水道光熱費

水道光熱費は、技能実習生が負担します。水道・電気・ガス会社からの請求費用を、居住者で均等に分配した金額以下である必要があります。

給与から天引きする場合には、賃金控除協定書が必要です。トラブル防止のために、協定書の内容は母国語でも提供することを推奨します。

相場

技能実習生の家賃負担の相場は1名あたり2~3万円、水道光熱費の負担は1名あたり5千円~1万円程度が一般的と言えるでしょう。この金額を上限に設定し、適切に控除・徴収することが重要です。

その他の生活用品

Wi-Fi環境

皆様がご存知のように、インターネットは生活に欠かせないと言えるでしょう。到着後すぐにWi-Fiが利用できるように準備しておきましょう。

実習生自身で契約することも可能ですが、未払いリスクを避けるためにも受入企業が法人契約し利用料を徴収するのがスムーズな方法です。

自転車の用意と保険加入

勤務地が遠く交通の便が悪い場合、自転車の提供が望ましいです。また、地域によっては自転車保険の加入が義務付けられているため、保険加入も必要になります。

生活用品の用意

実習生が快適に生活を始められるよう、基本的な家電や寝具、キッチン用品を揃えておきましょう。新品のアイテムはもちろん、不要になった社員のアイテムやリサイクルショップを活用するのも一案ですが、もしもあなたが初めて外国に住む場合に許容できるレベルのものを選んでください。

ティッシュ、トイレットペーパー、ゴミ袋などの消耗品も用意しておくと、何かと役に立つので便利です。

住居選びのポイント

技能実習生の住居選びでは、実際の生活を考えた快適な環境の提供が大切です。
費用負担以外にも、通勤の利便性、スーパーやコンビニなどの近さ等も考慮しましょう。

また、住居や地域によって異なるゴミ出しのルールや、緊急時や災害時の避難方法などを伝えておくことは非常に重要です。
技能実習生が、異国の地で少しでも早く生活に慣れることができるように、責任を持ってサポートしましょう。

注意点

技能実習計画に住居情報が必要

技能実習生の宿泊施設は、技能実習計画認定申請書に記載する必要があります。実習開始予定日のおよそ4か月前までに提出が必要で、宿泊施設の手配を早めに行うことが重要です。

14日以内に住所登録の届け出が必須

引越しが終わったら、14日以内に地域の役所で住民登録を行わなければなりません。正式な住居に住み始めてから登録を行い、90日以内に登録しないと在留資格が取り消される恐れがあります。

途中帰国時の費用負担

途中帰国などで入居後に人数が減っても、最初に設定した1名あたりの控除・徴収金額を上げることはできません。その分は企業負担となるためご注意ください。

まとめ

初めて技能実習生を受け入れる場合には、新しいことを覚えたり、たくさんの準備が必要なため、ご担当者様の負担が増えてしまうことでしょう。

それでも、最も重要なのは、海外で初めて生活をする人にとって、どのような住居、生活用品、サポートがあれば快適に暮らしていくことができるか、を考えることです。

監理団体の力を借りながら、よりよい実習期間を送ってもらうためのサポートをしていきましょう。