技能実習生の「偽造」在留カード
はじめに
外国人が日本で生活をするにあたり、携帯必須な「在留カード」。日本に住む外国人のための身分証明書であり、3ヶ月以上日本に滞在する資格がある中長期間在留者のために発行されます。
しかし、残念ながら、偽造の在留カードを販売するグループは多く存在しています。特に、Facebook等のSNSで、不法滞在者向けにサービスを展開しているようです。
不法滞在者を雇用している企業には罰則が課されます。「気づかなかった」という言い訳は通用しません。ぜひこの記事を読んで対策を打ってください。
在留カードの概要
在留カードとは
在留カードは、日本に中長期滞在する外国人に対して発行される重要な身分証明書です。観光目的で短期滞在する外国人には発行されません。就労、学業、結婚などで中長期間日本に滞在する外国人が対象です。
在留カードに記載される情報
在留カードには主に以下の情報が記載されています。
- 氏名
- 生年月日
- 性別
- 国籍・地域
- 住居地
- 在留資格
- 在留期間
- 就労の可否
これらの情報に変更があった場合、届け出が義務付けられています。また、在留カードには偽造防止のためにICチップが搭載されており、カード面に記載された情報が記録されています。
在留カードの携帯義務
在留カードを交付された人は、常にカードを携帯していなければなりません。不携帯で警察に職務質問を受けた場合、20万円以下の罰金が科せられることがあります。特に、16歳以上の人の在留カードには顔写真が表示されており、身分証明書としての機能を果たします。
そのため、企業や監理団体は、在留資格手続の申請時等を除き、基本的には技能実習生の在留カードや旅券を保管してはいけません。
在留資格の変更や、在留期間の更新の申請時には、在留カード原本の提出が求められますので、その申請中の期間は必ずコピーを携帯するようにしてください。
在留カードを紛失した場合
在留カードを紛失した時は、14日以内に最寄りの警察や交番に紛失届を提出し、警察署で取得した遺失届出証明書等を持って、本人の住居地を管轄する入管で再交付申請を行いましょう。
本人が申請する場合に必要なものは、在留カード再交付申請書、顔写真、遺失届出証明書等、旅券です。原則、即日交付です。
代理人による申請や、詳しい説明は、下記出入国在留管理庁のページをご確認ください。
在留カードの紛失自体に対する罰則規定はありません。しかし、紛失による在留カードの再交付申請を申請期間中に行わなかった場合、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金が課されることがあります。
在留カードが交付されないケース
以下の条件に該当する人には在留カードは交付されません。
- 在留期間が3か月以下の人
- 短期滞在の在留資格を持つ人
- 外交または公用の在留資格を持つ人
- 特定活動の在留資格を持つ一部の人(台湾日本関係協会や駐日パレスチナ総代表部の職員およびその家族など)
- 特別永住者
- 在留資格を有しない人
在留カードは、在留外国人が安心して日本で生活するために欠かせないものです。規定を守り、適切に管理することが重要です。
本物と偽物の違いは?
カードの特徴
偽変造防止対策として、カードに5つの工夫が施されています。
カード番号と有効期限で照会
出入国在留管理庁の「在留カード等番号失効情報照会」ページにて、「在留カード等番号」「在留カード等有効期間」を利用して、失効状況を確認することができます。
在留カード等読取アプリケーション
出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」を利用して、スマートフォンやパソコンでICチップの情報を読み取り確認することができます。
- 正規の在留カード:画面上部に「正常な在留カードを読み取りました」と表示
- 偽造の在留カード:画面上部に「異常なカードを読み取りました」と表示
偽物の場合は、速やかにお近くの出入国在留管理官署まで連絡してください。
不法滞在者を雇用した場合
技能実習生が失踪をすると「不法滞在者」として扱われます。もし、在留カードの偽造に気づかずに、不法滞在者を雇用してしまった場合、どうなるのでしょうか。
不法滞在者を雇用した場合、企業や担当者には重大な法的リスクがあります。具体的には、不法就労助長罪として3年以下の懲役、または300万円以下の罰金、もしくはその両方が科せられる可能性があります。
さらに、企業全体の信頼性に大きな打撃を与えるだけでなく、合法的に雇用している外国人労働者に対しても悪影響を及ぼす可能性があります。具体的には、外国人労働者が帰国を余儀なくされたり、転職を余儀なくされるなどの事態が生じるかもしれません。適切な外国人労働者の雇用管理が求められます。
まとめ
人を疑うのは気が引けるかもしれませんが、在留カードの真偽をしっかりと確認することは、自社を守るだけではなく、健全に頑張っている他の技能実習生のためでもあります。監理団体と協力しながら、常に最新の情報を得ながら注意を怠らないように心がけましょう。