技能実習生の生活指導員とは?

技能実習生の生活指導員とは?

はじめに

技能実習生を受け入れる企業にとって、生活指導員の存在は非常に重要です。彼らは技能実習生の日常生活をサポートし、円滑な実習環境を提供する役割を担っています。

技能実習生は受入企業に配属される前に、母国の送出機関や日本の入国後講習センターで、日本の文化や生活マナーについて学びます。しかし、実際に生活を始めると、異なる生活習慣に戸惑うことや、さまざまなトラブルに直面することが少なくありません。

この記事では、生活指導員の役割、要件、選任ポイント、登録方法について詳しく解説します。

生活指導員の役割

下記のポイントを踏まえて、生活指導員は、技能実習生が日本での生活と実習を円滑に行えるよう多面的にサポートすることが大切です。

日常生活のサポート

生活指導員は、トラブルを未然に防ぐために、日常生活上のルールなどを細かく伝えていきましょう。技能実習生は、母国や日本での入国後講習施設で日本の生活について学びますが、実際の生活では予想外のことが多々あります。

配属直後は特に不慣れでトラブルが発生しやすいため、「ゴミは分別する」「自転車の二人乗りをしない」など、基本的な生活マナーや交通ルールについても、何度も伝えた方が良いでしょう。

人間は基本的に怠惰な生き物です。「一度伝えたから、あとは技能実習生の責任」ではなく、技能実習生ができるようになるまでが指導です。

実習生の健康管理

まずは、健康的な生活をサポートするために、暴飲暴食や夜更かしなどについては適切に指導を行う必要があります。病気や怪我がないか日々確認し、日本人の従業員と同様に法定通りの健康診断を実施しましょう

もしも技能実習生が病気や怪我をした場合、監理団体と連携して病院の手配など必要な対応を迅速に行ってください。

寮生活などのトラブル解決

技能実習生は、実習時間以外は寮にいることが多いと思います。そうすると、例えば、寮の備品が壊れたり、技能実習生の私物が紛失したり、近隣から騒音やゴミに関する苦情が来たりすることがあります。

こうしたトラブルに対応するのも生活指導員の役割です。技能実習生同士の小さな喧嘩や、ゴミ出しの問題など、日常的なトラブルも含めて迅速かつ適切に対処します。監理団体と連携し、必要な対応を行うことで、寮生活が円滑に進むようサポートします。

日本文化への理解促進

技能実習生が日本での生活に早く馴染むためには、実習現場以外での交流がとても重要です。生活指導員は、実習生と日本人従業員との交流を促進するイベントを企画することで、日本語能力の向上や相互理解の深化が期待できます。

また、地域のお祭りなど、日本文化や地域住民に触れる機会を提供することで、実習生のモチベーションも高まり、全体的なトラブルも少なく実習を行なっていくことができるのではないでしょうか。

生活指導員の要件

生活指導員は、技能実習を行う事業所に所属する常勤の役員または職員である必要があります。特定の資格や勤続年数は必要ありません

ただし、以下の条件に該当する場合、生活指導員として選任できません。

  • 未成年者
  • 禁錮以上の刑を受け、その執行が終わってから5年を経過していない者
  • 過去5年以内に出入国または労働に関する法令に違反した者

生活指導員を選ぶポイント

以下のポイントを考慮して生活指導員を選ぶことで、実習生が日本での生活に早く適応し、安心して実習を行う環境を提供することができます。

コミュニケーション能力

技能実習生との良好なコミュニケーションを確立することは、生活指導員にとって極めて重要です。異文化間での対話が得意な人材を選ぶことで、実習生の悩みや疑問に迅速に対応でき、彼らの不安を軽減することができます。例えば、異文化交流の経験が豊富な人や、多言語を話せる人が適任です。

共感力

実習生の立場に立って物事を考え、彼らの悩みや困難に寄り添える能力が必要です。実習生が母国を離れて生活する中で直面する孤独感や不安を理解し、支えることができる人が望ましいです。実習生との信頼関係を築くためには、共感力が欠かせません。たとえば、異国での生活経験がある人や、異文化に対して理解と興味を持っている人が適任です。

問題解決能力

実習生の生活中に発生するさまざまなトラブルに対して、冷静に状況を判断し、迅速かつ適切に対応できる能力が求められます。特に、健康問題や生活環境の変化など、実習生が直面する可能性のある問題に対して、的確な対策を講じることが重要です。例えば、過去にトラブル対応の経験が豊富な人や、危機管理能力に長けた人が理想的です。

教育・指導力

技能実習生が安心して学び、技術を習得できる環境を整えるためには、効果的な指導スキルが必要です。教育方法を工夫し、実習生一人ひとりのペースに合わせた指導を行うことが求められます。また、技術や知識だけでなく、実習生に対して優れた指導力を発揮できることも重要です。例えば、教育やトレーニングの経験がある人や、指導方法に柔軟性を持つ人が適任です。

生活指導員の登録や講習について

生活指導員の登録方法

外国人技能実習機構へ書類を提出することで、生活指導員の登録が完了します。
具体的には、生活指導員の履歴書の記入、誓約事項が記載された書類への署名を行う必要があります。

下記、外国人技能実習機構のページに書式が公開されていますので、参考いただければと思います。

参考:技能実習計画の認定申請/計画の変更関係
「技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員の履歴書並びに就任承諾書及び誓約書」

生活指導員の養成講習

生活指導員講習への参加は任意ですが、講習を受講することで、技能実習生との触れ合い方や、労働災害の防止や対応策について学びが深まり、結果としては技能実習生と受入企業の双方により良い結果をもたらすことになると思います。

また、生活指導員の講習受講歴は、優良な実習実施者の配点に加算されます
優良な実習実施者になると、受入人数が拡大され、受け入れ期間も延長することができます。詳しくは別の記事で解説しています。

参考:【企業】優良な実習実施者とは?

【企業】優良な実習実施者とは?

はじめに 技能実習制度の期間を3年から5年に延ばすためには、技能実習3号の受け入れができるように「優良な実習実施者」として認定されることが必要です。 この「優良な実…

下記、厚生労働省のページに養成講習機関及び講習実施日程が公開されていますので、参考いただければと思います。

参考:外国人技能実習制度における養成講習について

まとめ

生活指導員は、技能実習生が安心して生活し、実習に集中できる環境を提供するために欠かせない存在です。適切な要件を満たし、選任ポイントを押さえて登録することで、実習生の生活をサポートし、企業の発展にも寄与することができます。技能実習生が日本での生活を円滑に送り、実習に専念できるよう、生活指導員としての役割をしっかり果たしていきましょう。