こんなことも?技能実習生の日常トラブル

はじめに
技能実習生が日本で生活する中で、失踪などの大きなトラブルが注目されることが多いですが、実際には日常生活の中でも多くの小さな課題やトラブルが発生しています。これらは文化やルールの違い、情報不足が原因である場合が多く、放置すると実習生のストレスや職場環境の悪化につながる可能性があります。
本記事では、実習生が直面する具体的な日常的なトラブルとその背景を掘り下げ、企業や監理団体がどのように対応すべきかについて解説します。特に、日本と母国の文化や習慣の違いから生じる問題に焦点を当て、解決策を提案します。
技能実習生が直面する日常的な課題
多種多様な問題が日常的に発生していますが、いくつかの例をピックアップしてみます。
海外での居住経験がある方なら身に覚えのあることもあるかもしれませんが、ぜひ目を通してください。
1. 電気やガスが止まるトラブル
- 事例:
- 毎月の郵送物が日本語で書かれており、内容を理解できずに支払いを忘れてしまったり、重要なお知らせを見落としてしまう。
- 解決策:
- 電気・ガス料金の自動引き落とし設定をサポートする。
- 初めて届いた書類についてはすぐに連絡してもらうようにルールを作る。
2. ゴミ出しや地域ルールの混乱
- 事例:
- 地域ごとに異なるゴミ分別のルールを知らずに間違え、近隣住民から指摘を受ける。
- 解決策:
- 多言語対応のゴミ分別マニュアルを配布する。
- ゴミ収集日や分別ルールを視覚的にわかりやすく伝える。
3. 日本人の行動を真似た結果、ルール違反に
- 事例:
- 日本人従業員が暗黙の了解で行っていた行動を実習生が模倣し、安全規則違反やトラブルに発展するケース。
- 解決策:
- ルールや規則を全員に周知し、日本人従業員を含めた徹底的な教育を実施する。
- 視覚的にわかりやすいマニュアルを用意し、言語の壁を越えたルール理解を促進する。
4. 闇バイトや特殊詐欺への関与トラブル
- 事例:
- SNSや不審な人物からの甘い誘惑に引っかかり、闇バイトや特殊詐欺に関与してしまうケース。
- 例: 「簡単に稼げる」などの言葉に誘われ、知らずに違法行為に加担してしまった事例。
- SNSや不審な人物からの甘い誘惑に引っかかり、闇バイトや特殊詐欺に関与してしまうケース。
- 解決策:
- SNSや知人からの不審な誘いには乗らないよう、初期研修で具体的に注意喚起を行う。
- 問題が発生した場合に迅速に対応できる相談窓口を設置する。
- 詐欺や闇バイトの手口について具体例を示し、実習生が警戒心を持てるよう教育する。
4. カラオケや騒音トラブル
- 事例:
- 東南アジアではカラオケを家や外で楽しむ文化があるが、日本では近隣住民から騒音として苦情が出る。
- 解決策:
- 日本での生活ルールや騒音問題に関する教育を初期研修で行う。
- カラオケを楽しめる適切な施設(カラオケボックスなど)を案内する。
5. 病院への受診が遅れるトラブル
- 事例:
- 体調が悪くても、病院に行くのが不安で受診を先延ばしにした結果、症状が悪化してしまう。
- 解決策:
- 医療機関の利用方法や保険適用の仕組みを初期研修で説明する。
- 病院での通訳サービスや、診療手続きが簡単に分かるガイドを提供する。
6. 銀行口座やATMの利用トラブル
- 事例:
- 操作方法が分からず、送金ミスや残高不足で支払いが滞る。
- 解決策:
- ATMの使い方や、銀行サービスの基本操作を説明する。
- 翻訳機能や多言語対応のサービスを活用する。
トラブルを未然に防ぐ具体的な対策
1. 情報提供の充実
- 生活ガイドの配布:
- 支払い方法や地域ルールを多言語で説明した生活ガイドを作成する。
- 実例を使った教育:
- 上記のようなトラブル事例を研修で共有し、注意喚起を行う。
2. コミュニケーション体制の整備
- 定期的な対話:
- 実習生との定期的な面談を実施し、困りごとを早期にキャッチする。
- 相談窓口の設置:
- トラブル発生時にすぐ対応できるよう、多言語対応の相談窓口を設ける。
3. 現地コミュニティとの交流促進
- 地域イベントへの参加:
- 地域住民と実習生が交流できるイベントを提供する。
- 近隣住民との相互理解を促進:
- 実習生が地域社会に溶け込める環境を整える。
よくあるのが「一度伝えたから、あとは技能実習生の責任」と、仕事をした気になってしまうことです。
20年近く育ってきた母国のやり方に慣れている人が、急に日本のやり方を100%理解し行動することは簡単ではありません。
技能実習生ができるようになるまで、生活指導員を中心となりサポートしていきましょう。
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まとめ
本記事では、技能実習生が日本で直面するトラブルの一部を取り上げましたが、実際にはさまざまなケースバイケースの課題が存在します。文化やルールの違い、情報不足から生じる問題は多岐にわたり、これらへの適切な対応が求められます。
技能実習生が直面するトラブルは、文化やルールの違い、情報不足が主な原因です。企業や監理団体が情報提供を充実させ、コミュニケーション体制を整えることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。また、日本人スタッフも含めたルールの共有や適切な教育が、職場環境の向上につながります。
協同組合Keep on Heartは、技能実習生の日常生活をサポートする仕組み作りを提案しています。実習生の受け入れに関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。