どこの国から技能実習生を受け入れるか?
はじめに
現在、様々な国籍の方が日本に住んでいますが、どこの国から技能実習生を迎えるべきかは重要な選択です。作業や言葉の能力、文化的な多様性、企業としての将来性など、検討すべきポイントは数多くございます。
本記事では、そもそも受け入れ可能な国や、統計的なデータ、よくある選定基準などについてご説明してまいります。
どこから受け入れられるか?
受け入れ可能な国
日本は多くの国と二国間協定を結んでおり、これによって技能実習制度の下での労働者の受け入れが行われています。下記17か国は、技能実習生を日本に送り出すことが認められている国々です。
2023年時点:インド、インドネシア、ウズベキスタン、カンボジア、スリランカ、タイ、中国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、ベトナム、ペルー、ミャンマー、モンゴル、ラオス
当組合で対応可能な国は、ベトナム、ミャンマー、インドネシア、フィリピンです。
それぞれの特徴については下記にてご確認ください。
二国間協定とは
二国間協定が結ばれているということは、その国々と日本が労働者の送り出しに関して具体的な合意を交わしていることを意味します。これにより、労働者の権利保護、適切な労働条件の確保、技術や知識の習得といった点が強化されることが期待されます。この協定は、技能実習生の保護だけでなく、技術の正しい移転を確実にするための法的・制度的な枠組みを提供します。
ただし、中国、ネパール、ペルーの3か国は二国間協定を結んでいないとのことですが、これらの国からも技能実習生が日本に送り出されている状況があります。二国間協定を結んでいない場合でも、他の法的または制度的な取り決めに基づいて労働者の受け入れが可能ですが、協定がある場合に比べて、権利保護の枠組みが異なる可能性があります。
具体的には、下記いずれかの条件を満たせば、実習生を受け入れることができます。
・2017年の新制度改訂以前に協定を締結している
・日本の協同組合が、外国政府・行政機関と直接契約を締結している
現状の統計データ
2023年末における、国籍別の在留技能実習生は404,556人。その中でも、下記の国々の比率が9割を占める状態です。
- 第1位 ベトナム(50.2%)
- 第2位 インドネシア(18.4%)
- 第3位 フィリピン(8.9%)
- 第4位 中国(7.1%)
- 第5位 ミャンマー(6.5%)
参考:出入国在留管理庁
企業目線の選定基準
長期的な人材確保を視野に入れた場合、技能実習生の国籍が後の就労ビザ取得の可能性にも影響を与えるため、戦略的な選択が求められます。企業が技能実習生を選定する際には、複数の基準が考慮されます。言語能力や専門スキルはもちろん、その国の文化的背景などが日本の職場環境とどれだけ合致しているかも重要です。
例えば、食品関係で豚肉を扱う場合には、イスラム教について考慮しておいた方が良いでしょう。言語能力を重視する場合は、文法的に日本語と近いミャンマーが良いかもしれません。日本にコミュニティが出来上がっているベトナムであれば、比較的安心して受け入れられるでしょう。
ただし、大部分は国籍ではなく1人1人の性格によるため、企業が将来的にその国でビジネスを展開していきたいか等も視野に入れ検討するのが良いでしょう。
企業側も選んでもらう意識が必要
各国の急激な経済成長や、オーストラリアや欧州の魅力的な労働条件などが要因となり、必ずしも日本を選ぶ必要がなくなってきている状況です。
技能実習生を受け入れる企業は、自社を選んでもらうためにも魅力的である必要があります。実習生にとって魅力的な環境、適切な労働条件の保証、そして生活面も含めてサポートをすることが重要です。受け入れ人数が増え、満足度が高ければ、実習生の母国での企業の評判が良くなり、優秀な人材を募集できる可能性も高まります。
まとめ
技能実習生を選ぶ際は、単に労働力としてではなく、将来的な国際的な架け橋としての可能性を見据えるべきです。企業が戦略的に考え、実習生にとっても魅力的な環境を整えることで、より質の高い実習生の確保が可能となります。また、企業自身が国際社会における責任を果たす一環として、この制度を利用することが求められます。