技能実習終了後も特定技能として働き続けてもらうには?

はじめに
技能実習制度を通じて、多くの企業が外国人技能実習生を受け入れていますが、 実習期間終了後も同じ企業で特定技能として働いてもらうことには大きなメリットがあります。特に、実習期間中に行われた教育や訓練が無駄にならず、業務を覚えた人材をそのまま活用できる点が重要です。
しかし、全ての実習生が特定技能へ移行するわけではありません。また、移行したとしても、必ずしも同じ企業で働き続けるわけではありません。
本記事では、技能実習生が特定技能として同社で働き続けるための条件や、企業が取り組むべきポイントについて解説します。
技能実習期間終了後の現状
外国人技能実習機構より2023年度に発表された「帰国後技能実習生フォローアップ調査」の結果によると、特定技能として日本に戻る技能実習生が5分の1を占める結果となっています。詳細については「90%以上が〇〇?技能実習生の帰国後フォローアップ調査」をご覧ください。
全員が特定技能を目指すわけではない理由
- 一部の実習生は、母国で学んだスキルを活かしてキャリアを築きたいと考え、帰国を選択します。
- 家族の事情や経済的な理由で、日本での生活を続けることが難しい場合もあります。
- 日本での生活に適応できず、特定技能を取得する意欲が低下するケースもあります。
他社への移行が発生する理由
- 実習期間中に他企業で働く実習生の話を聞き、他社の条件に魅力を感じることがあります。
- 他企業の特定技能に応募したほうが給与や待遇が良いと考える場合があります。
特定技能として同じ企業で働き続けてもらうための条件
1. 給与や待遇を適正化する
- 実習期間中よりも高い給与や待遇を提示することが重要です。
- 特定技能としての給与が他社と比較して遜色ないことを確認します。
- 賞与や昇給の仕組みを具体的に説明し、将来の安心感を与えます。
2. キャリアパスを明確にする
- 長期的なキャリアビジョンを描けるように、昇進やスキルアップの可能性を提示します。
- 技能実習から特定技能、さらに高い専門性を持つポジションへの進路を明示します。
3. 職場環境を整える
- 実習生が安心して働けるように、快適な職場環境を提供します。
- 日常的に感謝を伝える文化を取り入れ、実習生のモチベーションを高めます。
4. 生活面のサポートを強化する
- 住居の確保やビザ手続きの支援を行います。
- 家族の帯同が可能であれば、その手続きもサポートします。
企業にとって特定技能への移行が持つメリット
教育コストの削減
- 実習期間中に行った教育や訓練がそのまま活用できるため、新たな人材教育にかかるコストを抑えることができます。
- 実習生がすでに業務内容を熟知しているため、即戦力として活躍できます。
業務の効率化
- 特定技能の移行により、新たな採用やトレーニングの手間が省け、企業の負担が軽減されます。
- 実習生が業務に慣れているため、他の従業員との連携もスムーズになります。
技能実習期間中に企業が取り組むべきポイント
信頼関係を築く
- 実習期間中から、企業が実習生を大切にしている姿勢を示すことが重要です。
- 定期的な面談や相談窓口を設置し、実習生の意見や要望を聞く場を作ります。
特定技能への移行手続きの透明性を確保する
- 実習期間中に特定技能の移行手順や条件を具体的に説明します。
- 他社よりも自社で働き続けるメリットを明確に伝えます。
働きがいのある職場を提供する
- 実習生がやりがいを感じられる業務や役割を与えます。
- 成果に対して適切に評価し、感謝の意を伝える文化を育てます。
例えば、勤務時間内に試験勉強のための時間を確保し、サポート体制を強化した企業では、サポートに満足した技能実習生が自国のコミュニティに企業の魅力を伝え、次の技能実習生・特定技能の募集にも貢献しました。
まとめ
技能実習終了後も特定技能として同じ企業で働き続けてもらうためには、給与や待遇の向上、キャリアパスの提示、信頼関係の構築が重要です。特に、実習期間中に築いた教育やスキルを活用できる点は、企業にとって大きなメリットです。適切なサポートと透明性のある情報提供を行うことで、実習生が自社で働き続けたいと思える環境を整えましょう。
協同組合Keep on Heartは、技能実習生から特定技能への移行をサポートし、企業と実習生の双方が成功する環境作りをお手伝いします。お気軽にご相談ください。