【毎日記載が必要】技能実習日誌とは?

【毎日記載が必要】技能実習日誌とは?

はじめに

技能実習日誌は、技能実習指導員が技能実習生の日々の実習内容を記録する重要な書類です。「聞いたことがない」という方も多いかと思いますが、実習計画の進捗や技能習得状況を明確に把握でき、適切な指導を行う基盤となります。

本記事では、技能実習日誌の目的、注意点、記載方法について解説します。

技能実習日誌とは?

技能実習日誌とは、「日々の実習が技能実習計画に沿って行われているかどうか」を確認するための重要な書類です。技能実習日誌の作成、保管については「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律施行規則(技能実習法)」に定められています。

技能実習日誌の目的

実習内容の確認

技能実習制度は、技能実習生が日本で技術を習得し、母国の発展に役立つ人材になることを目指しています。そのため、受け入れ前に提出した技能実習計画が実際に守られているかを確認する必要があります。

技能実習日誌は、技能実習が技能実習計画の通りに進行しているかを記録するための重要なツールです。技能実習機構の監査時にも、この日誌が計画と実際の実習内容の一致を確認するために使用されます

技能実習生の指導効率化

技能実習生が効果的に技術を習得するには、日々の実習内容を指導員がしっかり把握していることが重要です。複数の指導員がいる場合や、指導員が交代する際には、技能実習日誌が役立ちます。日誌を使って作業内容を共有することで、過去の実習状況を把握し、引き継ぎがスムーズに行えるため、実習の効率が向上します。

技能実習日誌の注意点

技能実習指導員が必ず毎日記入

技能実習日誌は、技能実習指導員が毎日記入することが求められます。その日の実習内容や指導の詳細を把握している担当者が記入することで、実習生の進捗を正確に記録できます。これは、技能実習の質を維持し、適切な指導を提供するために不可欠です。特に実習内容が多岐にわたる場合、細部まで記録することが後々の確認作業に役立ちます。

最低4年間の保管義務

技能実習日誌は、実習終了後1年間の保管が義務付けられているため、実習開始から終了までの3年間と合わせて最低でも4年間保管する必要があります。これは、技能実習機構の監査時に過去の実習記録を確認できるようにするためです。また、保管しておくことでトラブルが発生した際の証拠としても役立ちます。大切な資料として慎重に取り扱いましょう。

関連業務も記録が必要

技能実習の現場では、必須業務の他に関連業務も行うことがあります。この場合、技能実習日誌に「関連業務」として明確に記載することが重要です。必須作業が年間50%以上を占めるようにするため、関連業務の記録は業務のバランスを確認する手段となります。適切に記録することで、技能実習計画との整合性を保ち、トラブルの未然防止につなげることができます。

技能実習日誌の記載方法

4つの項目の記載

技能実習日誌に記載すべき重要な4項目について詳しく説明します。

1. 実習を行った日付: 実習が実施された具体的な日付を正確に記録します。

2. 実習内容: 技能実習生がその日に従事した実習の詳細な内容を記載します。ここでは、必須業務および関連・周辺業務についても明確に記録することが求められます。

3. 指導内容: 技能実習指導員が行った具体的な指導内容を詳細に記入します。指導の対象となる内容やその方法についても含めます。

4. 担当指導員の名前: その日の指導を担当した指導員の名前を記録します。

これらの項目を漏れなく記入することで、日々の実習が技能実習計画に沿って適切に行われているかどうかを確認することができます。また、後に監査が行われる際にも、これらの詳細な記録が重要な役割を果たします。

書式は自由

技能実習日誌の記入形式についても触れておきます。日誌の作成にあたり、基本的な項目が揃っている限り、具体的なフォーマットについては自由度が高いです。重要なのは、日誌の記載内容が完全であり、実習の進行状況を正確に反映していることです。これにより、日々の実習記録が一貫して管理され、技能実習計画との整合性が保たれます。

技能実習機構が基本フォーマットを提供しているため、そちらの書式を使用するのも良いでしょう。
参考:外国人技能実習機構 帳簿関係

状況に応じて分けて記載が必要

  • 異なる区分の技能実習生を受け入れている場合

技能実習1号と技能実習2号など、異なる区分の技能実習生を受け入れている場合は、それぞれの区分ごとに技能実習日誌を作成します。これにより、各区分における実習内容や進捗状況を明確に記録し、区分ごとの技能実習計画に沿った管理が可能になります。

  • 技能実習生によって技能実習の期間が異なる場合

技能実習生の実習期間が異なる場合は、それぞれの技能実習生ごとに技能実習日誌を分けて作成します。これにより、各実習生の実習期間や進行状況に応じた詳細な記録が保持され、適切な指導と評価が行えます。

  • 技能実習生によって行う業務が異なる場合

技能実習生が異なる業務に従事する場合も、業務ごとに技能実習日誌を作成する必要があります。これにより、各業務における技能習得状況や指導内容が明確に記録され、効果的な技能実習の管理が実現します。

  • 共通の記録が可能な場合

複数の技能実習生を受け入れていても、技能実習の区分、期間、行う業務が同じである場合は、1枚の日誌にまとめて記入することが可能です。同じ実習条件下であれば、一つの日誌で管理することで効率化が図れます。

まとめ

技能実習日誌の作成は、初めて技能実習生を受け入れる企業にとっては慣れない作業で、日々の業務と並行して行うことに負担を感じるかもしれません。

しかし、技能実習日誌をつけることは実習計画が想定通りに進んでいるかを確認する重要な手段であり、受入企業と技能実習生の間のトラブルを未然に防ぐためにも非常に有効です。適切な記録を維持することで、実習の質を高め、円滑な運営をサポートします。