技能実習制度廃止?育成就労制度とは?

技能実習制度廃止?育成就労制度とは?

はじめに

2024年6月14日、技能実習制度に代わる外国人材受け入れの新制度「育成就労」を新設する出入国管理法などの改正法が、参院本会議で可決・成立しました。公布後は3年以内に施行され、2027年には開始予定となる見通しです。

主な変更点としては、「技能実習制度では原則認められていない、本人意向の転職が可能になる」ということが挙げられるでしょう。

今回は、新制度「育成就労制度」について、2024年6月時点の見解をお伝えいたします。今後も新しい情報がありましたら、随時お知らせいたします。

制度比較(2024年6月時点)

まずはこちらの表をご覧ください。

技能実習制度育成就労制度
目的国際貢献、技術移転
(人材確保の目的ではない)
人材育成、人材確保
(国際貢献の目的ではない)
在留期間最長5年原則3年
転職原則不可条件を満たせば可能
・1つの職場で1年を超えて働く
・日本語や技能が一定水準を超えている
など
関係機関監理団体
外国人技能実習機構
監理支援機関
外国人育成就労機構
対象業種90職種165作業特定技能と同じ産業分類
受入人数上限なし産業分野ごとに上限あり
日本語能力6ヶ月以上又は360時間以上の講習
資格要件なし
入国前に日本語能力試験N5が必要

目的

技能実習制度は「国際貢献のための技術移転」が目的でした。しかし、実態には乖離があり、労働力として受け入れているケースも多く、国際的に問題視されていました。

今回の育成就労制度の目的は、特定技能1号程度の人材を育成し、各産業分野を長期的に支える人材を確保することに変更されます。

そのため、職種も特定技能が可能な範囲に限られる可能性がありますが、現在議論が続いているトピックでもあります。

日本語教育が重要になります

技能実習制度では、受入れ前には6ヶ月以上または360時間以上の講習が必要でした。また、2号、3号への移行のためには、技能検定の合格が必要でした。

育成就労では、受入れ前の時点で、N5レベルの日本語能力が必要と言われています。受入れ後も、特定技能への移行を前提にしているため、技能検定の勉強だけではなく、N4、N3の日本語検定への合格も必要になってくるでしょう。日本国内の人材確保を目的としていることもあり、求める日本語能力は高くなっています。

しかし、受入企業の多忙の業務の中、日本語の教育時間を十分に設けることは至難の業かもしれません。この観点から、教育分野に明るい監理支援団体を選定し、協力できる体制を整えることが重要になってくると考えています。

技能実習生の日本語レベルや、教育方法については、下記の記事もご参考ください。

技能実習生の日本語レベルは?受入企業の教育方法は?

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はじめに 日本において、多くの企業が技能実習生を受け入れています。技能実習制度は、日本の技術や知識を外国人に伝えるだけでなく、彼らの母国での経済発展にも寄与して…

転職・転籍が可能になります

技能実習制度では、実習生の転職は認められていませんでした。しかし、労働者の権利を守り、日本で長く働ける環境を整えるために、育成就労では一定の要件をクリアした場合、本人の意向で転職・転籍を認めるとされています。

外国人材の受け入れを監理する団体の許可基準が厳格化され、名称が「監理支援機関」となります。現行の監理団体との大きな違いは、外部監査人の設置が義務付けられることです。また、転籍の手続きはハローワークや監理支援機関に限定され、悪質なブローカーを排除するため、民間事業者の関与は認められません。

転職・転職が可能になるということは、受入企業が労働者にとって働きやすい環境かどうかがより問われてくるということですが、そこには労働時間外のサポートも含まれます。しっかりとした協力支援体制を築ける監理支援団体を選定することが重要になります。

まとめ

2024年6月時点の情報をまとめましたが、現在の技能実習制度と、新しい育成就労制度の違いは、ざっくりとご理解いただけましたでしょうか。

より高い日本語能力が求めれるという点でも、ぜひ協同組合Keep on Heart(KOH)を頼っていただければと思います。

技能実習から育成就労への移行は段階的に行われるため、現時点では技能実習生の受け入れに関する制限は必要ありません。ただし、最新の情報を掴んでおくことで、今後の受け入れ計画を立てやすくなることは間違い無いでしょう。リアルタイムの情報、より詳しい情報を知りたい方は、ぜひお問い合わせください!