はじめに
インドネシアは、その複雑で多彩な歴史と文化を背景に持つ、世界有数の多民族国家です。この国の人々は、多様な宗教、言語、伝統を持ちながら共存しています。この豊かな背景は、インドネシア人技能実習生の柔軟性と適応力に大きな影響を与えており、日本企業が彼らを受け入れる際に知っておくべき重要なポイントです。
インドネシアの概要
常夏のインドネシア。東南アジアに位置する島国で、17,000以上の島から成り立っています。豊富な自然資源と大規模な国内マーケットの存在は既知のことかと思います。
なんといっても2億7000万人を超える世界第4位の人口を擁し、国内には300以上の民族が存在し、多様な言語、文化、宗教が共存しています。
インドネシアは、数千年にわたる歴史の中で、多様な文化と伝統が形成されてきました。オランダの植民地時代を経て1945年に独立を達成し、その後も様々な政治的、経済的変遷を経験しています。これらの歴史的背景は、インドネシア人の強い適応力と回復力の根底にあります。
宗教面は、世界最大のイスラム教徒の人口を有する国で、約87%の人々がムスリムです。ただし、イスラム教は国教ではありません。
この背景は、国民の日常生活、文化、および価値観に深く根ざしています。そのため、インドネシア人技能実習生を理解するには、彼らの宗教的信念と習慣に注意を払うことが不可欠です。
インドネシア人技能実習生の特徴
国内の技能実習生の国籍別割合では、ベトナムに次ぐ第2位に位置します。一方、国籍別の技能実習生数の増加率は、2022年時点で第1位となっており、ネクストベトナムとして注目されています。親日家が多く、和やかで優しい性格な人が多い印象です。
ムスリムの場合には、例えば、ラマダンの期間中に断食を守り、日々の礼拝を行うことが一般的です。このような宗教的慣行は、彼らの時間管理や生活リズムにも影響を及ぼすため、受け入れる企業はこれらを理解し、適切な支援を提供する必要があります。
ただし、日々の祈りの実践は人それぞれです。多くの人がイスラム教と聞いて「1日5回の祈り」を想像するかもしれませんが、厳格に守る人も、仕事の合間や一日の始まりと終わりにまとめて祈る人もいます。信仰心が控えめな人もおり、そのような信仰スタイルも社会に受け入れられています。
企業が注意すべき点
繰り返しになりますが、インドネシア人技能実習生の宗教的慣行に配慮した環境を整えることが重要です。例えば、礼拝の時間を確保したり、ハラール食の提供を検討したりするなど、彼らが宗教的義務を果たせるよう支援することが求められます。このような配慮は、技能実習生が安心して生活し、効果的に職務を遂行するための基盤となります。
宗教面以外でも、例えば「Jam karet」(ゴムの時間)という概念は重要な文化的特性の一つです。これは、時間に対する柔軟な考え方を表し、インドネシア人が時間を厳密に守るよりも、人間関係やその場の状況を優先する傾向があることを示しています。この考え方は、日本の時間に対する厳格な文化とは異なるため、インドネシア人技能実習生を受け入れる際には、この文化的違いを理解し、適切に対応することが求められます。
イスラム教の価値観に基づくインドネシア人技能実習生との協働は、日本企業にとって貴重な学びの機会を提供します。異文化理解を深めることは、グローバルな視野を養い、将来の国際的なビジネスチャンスに繋がる基盤となるでしょう。インドネシアという成長市場との関係強化にも寄与し、長期的なビジネス展開の可能性を広げることにつながります。
まとめ
前提として、インドネシアの方が働きに行く国は、日本だけではありません。最近はオーストラリアや欧州も労働先として人気で、その理由には賃金以外にも多文化共生社会が進んでいることも関係しているでしょう。
企業側と実習生側が事前にしっかりと話し合い、何ができて何ができないのか、お互いに寄り添いながら確認することが重要です。